緊急PCIで心筋炎の可能性があり、緊急入院!そして…~劇症型心筋炎の闘い 急変①~
1月24日(金)
起床後倦怠感あり、高熱はないが仕事を休む連絡を自分でする。
ソファで横になって唸っている。私は、昨夜も多汗であったため、シーツなどを洗濯して、コインランドリーで乾燥。
水分摂取のためのスポーツ飲料、OS1等を買い物して帰宅。途中、Y子さんから電話があって、家の駐車場で車内で話すが、なんか不安で、一旦家に入って、ソファで寝ているパパを確認してから車に戻り、電話した。
電話が終わって、家に入り声をかける。なんか腹が立つ。寝ていてもよくならんやろ!って気持ち。
今日は午前中から叔父さんのお通夜の手伝いに行くつもりであったが、1人置いて行くわけにもいかない感じで、従兄弟に「昼ぐらいに行く」と連絡していた。
10:00頃に、病院に行く事を勧めるが、「行くのがしんどい。行って待つのがしんどい。昨日も行って診察したのに、今日また、何じゃ言うて病院に行くん?」と。
私の看護師としてのアセスメントが始まる。
熱は下がっているのに、呻吟がある。私は、熱が上がってしんどくて呻吟があると思っていた。なのに、今日発熱はない。
「ねぇ!その、んー。んー。言うんは何で?熱が上がっていく時に唸りよると思いよったけど、今日は熱下がっとるやろ?何で、ずっと、んー。んー。言いよん?!」そう言いながら不安な事がもう一つ思い当たった。熱が下がる時に多汗であると思っていたが、今日は熱がないのに玉のような汗をかき、シャワーをして、その後も汗をかいている。
おかしい!!絶対何かある!!と、不安でいっぱいやった。
呻吟に対しては、「こうやって息をした方が楽なんよ」と答える。
もう、そのぐらいから、胸騒ぎがして、私の心臓がバクバクしていた。
冷静に情報収集をしなさい!そう自分に言い聞かせて、簡単に的確な答えが得られるような質問をする。
「熱が出だしてから今日までで、いつが一番しんどい!?」聞いてみる。
「今日」と。
もう、嫌な感じしかしない!熱は下がっているのに、今日が一番しんどいって…
日勤中の長女に「受診に行くかも…」という内容のLINEを送って
「やっぱり病院に行こっ!」最初は優しく言ったと思う。
でも、「酸素が足りんのかな?」とか、「血糖が低いんかな?高いんかな?」とか、んー。んー。唸りながら聞いてきて、なかなか「行く」と言わない事にだんだん腹が立ってきたのと、何か言いようのない不安感が大きくなって、
「もう!すぐに病院に行くよ!家におっても良くならんし!パルスオキシメーターも血糖測定器もない状態で、寝とるだけで!しんどくなって!大汗かいて!何にもわからんし!どうしようもない!大人なんやけん!熱がないけどしんどいって、ちゃんと言うて何とかせないかんやろ!」みたいなことを興奮して言った。
パパは一言「ようけ怒られて、何言われたんかわからん…」と。
昨日の受診で発汗多量で服がびっしょりになったので、着替え一式と、タオルと、水分と、服薬中の薬を丸ごと持って…と頭ではわかっているが、内服薬を出したり、入れたり…とにかく落ち着かないで慌てていた。
「ちょっと、トイレだけ行かせて」パパはそう言うとトイレに行った。
そして、出てきたら不安そうに私を見て「まぁちゃん、これ見て。」ズボンを下ろして見せる。
パパが見せた大腿部に網状皮斑が出現している。「何それ!?」私は慌てて写メを撮る。
消失してしまうかもしれない。慌てていたけど、診察の時に見せれるように!そこは冷静に看護師としての私がいた。
ちょくちょく出てくる私の中の看護師だが、その後、たまらなく不安に感じたことがあった。
「わし、昨日から口が臭いんよ」
何でこのタイミングで言ったのかはわからないが、パパが突然言う。
「えっ?!脱水かな?」いや、違う…この臭いは…
もう、泣きそうになる。早く病院に!!心臓バクバクMAX!
その臭いは…
死臭やった。私は慢性期病院に長年勤務していて、ほとんどの患者が看取りであった。状態がだんだん悪くなり、亡くなる前に死臭がする。亡くなる全ての人ではないし、数日前からする人もいれば、数時間前から臭う人もいる。
その臭いは例えるものが思いつかない臭いで、よくわからないが「臭ってきたけん、近いかな。」とかスタッフ同士で話したりしていた。「何の臭いなんやろね?」とかも言っていて、みんな、その臭いがどこから、何の臭いか?わかるスタッフはいなかった。とりあえず「死臭がする」と言う表現を使っていた。
以前からその話は家でもしていて、家族から「死臭がしたら教えて!(笑)」なんて、冗談で言っていた。
自分の旦那からその臭いがする!衝撃が大きすぎ!手が震える。足がすくむ。とにかく病院に!!
今はその臭いが何の臭いか何となくわかる気がする。
あの臭いは、たぶん、細胞が死んでいく臭いなんだと思う。
人間の身体の細胞が少しずつ死んでいく時に臭いが出るんだと思う。
パパを車に乗せて、昨日救急で行った病院へ電話する。
「昨日の夜、救急で受診したんですけど!やっぱり調子が悪くて、昨日より悪くて!とにかくそちらに向かっていますので診察してください!」
「ちょっと、先生に聞いてみますのでこのままお待ちください」電話を繋いだまま、車で向かう。
途中、呼吸が止まらないか!?意識レベルが下がらないか!?後部席を何度も確認しながらとにかく急ぐ。病院までの距離で半分ほど移動したとき、パパの仕事の電話が鳴る。
「はい!○です~!」いつものように電話の対応をしている。こんな時やけど、電話対応している声を聞けるのは安心した。呼吸停止も意識レベル低下もない。って事やから。
「内科の岡田先生に診て貰ってください」と返事がもらえた時は、病院のすぐ近くやった。
病院に着いた。という安心感は大きかった。さっきまでの心臓バクバクも少し落ち着いた。
血圧110台。SPO2=92% また、心臓バクバク始まった。もともと血圧が高いパパ。血圧が110台なんてありえない!SPO2も低いやろ!?
診察室に呼ばれて、症状を話す。たぶん早口で、マシンガンのように話した。臥床して診察。
診察待ち時間に「胸焼けがする。まぁちゃん、パンシロン持ってないん?」持ってない。自分の鞄の中にも入ってなかった。胸焼け→胃部不快を訴えていた。
診察の時に伝えると、「どこか押さえてみてください」優しく医師に言われた。
「ここ」パパが押さえる。
私は思わず「えっ!?」声を出した。
今度は、心臓バクバクではなく、心臓を打ち抜かれた!パパの押さえた場所は…
そこは、胃じゃない。心臓よ…
落ち着け私!心の中でそう言い聞かせながら指示の検査に回る。採血、尿検査、レントゲン。
パパは、もともとユーモアのある人で何でも面白おかしく表現する。こっちの腹が立っていても、そのユーモアのあるトークで思わず許してしまうような人。持ち前のそのトークで私の気分も少し落ち着き始めていた。
廊下にちょっとした坂がある。私の2倍ぐらい体重のあるパパを乗せた車椅子を押しながら「もう!重たいんよ!(笑)」文句を言う私に、「そうは言うけど、近年で今が一番軽いぞ~(笑)食べてないけんな!(笑)」とパパ。
「何言よんぞ!マジで重たいんで~!」と言う私に「まぁちゃんは軟弱者やな(笑)」と返すパパ。
笑ってそんな会話をしながら心電図検査室に到着。
「すぐ終わるんで奥さんも一緒に入って待っててください」そう言われたので、パパの乗っていた車椅子に座って、足をブラブラしながら「心電図は痛いことないけん、びびらんでえーよ」「知っとる!」なんてパパと話していた。
「あっ!喋ったらいかんわい(笑)静かにしときや…。…えっ!?」
私は、心電図は苦手。亡くなる前の波形や、VPCぐらいしかわからん。でも、目に入ったパパの心電図がおかしいのはすぐにわかった。この波形はありえん!そう感じたと同時に、検査の人もすぐに他の人を呼びにカーテンの外に出た。そして、呼ばれてやって来たもう一人の人と一緒に慌てだす。「奥さん!外に出て待ってて下さい。」
やっぱり心臓やった?心筋梗塞?狭心症?でも、熱出る?わからん…
廊下で待ってる間、指示を出した内科医が走って来る。心エコーらしき機械も廊下を挟んだ前の部屋から持って来る。とにかく、ただならぬ空気が感じられた。でも、私はその時「心筋梗塞」と思い込んでいた。
15:20親友のY子さんに「何しよん?暇?」「暇よ~。どしたん?」「暇なら病院来て~。旦那と一緒に病院におるんやけど、たぶん心筋梗塞やと思う」なんてLINEしていた。そのLINE後に、看護師が、向こうから空のストレッチャーを急いで押してきた。
その後Y子さんに15:35「今、新館の1階です。今から心カテ」LINEしていた。
15:41「わかった」と返信あり。
そして、パパはそのストレッチャーに移り、検査室から出てきた。出てくると言うものではなく、パパの乗ったストレッチャーを数人で走って押して来た。って、感じやった。
正直、このぐらいから頭の中が混乱していた。医師に「心筋梗塞か狭心症の疑いがあるので、すぐに詳しい検査をします。カテーテル検査の同意書を!」みたいなことを言われた。
そのまま、パパは一度、2階の循環器へ。私は同意書を書いてアンギオ室前で待つ。
待っている間に長女が、パパのカルテで「緊急PCI」と言う記載を見て急いで来る。長女がエスカレーターを降りようとしたところ、エレベーターからパパが降りてくるのが見えたと。長女は駆け寄って「パパ!」パパは「むーさん!」と。
この状況を私は知らなかったけど、後から長女が「パパは凄い不安そうな顔しとったんよ」と言っていた。
その頃私は、アンギオ室の前で待っていた。パパが救急の処置室に入ったタイミングで処置室前に行ってください。と言われる。「処置室?どこ?」と思っていたら、長女がアンギオ室前に迎えに来る。
「お母さん!看護師さんが探しよるよ!処置室前に行こ!」と。二人で処置室前で待つ。
パパは処置室で検査の前処置をしていた。
パパが処置室から出てくる前に、パパが着ていた服と靴、結婚指輪を外して看護師が渡しに来た。
どのくらい待ったやろ。
全然思い出せない。
覚えているのは、処置室からアンギオ室に向かう途中、私は、パパの乗ったストレッチャーに、早足で追いかけてついて行ったような印象が残っている。
そして、不安そうな顔で「まぁちゃん」って、言うパパ。
その時「大丈夫よ!パパ!たぶん心筋梗塞!藤田さんが言いよったやろ?死にはせん!って。ほやけん、心筋梗塞やわい。大丈夫。大丈夫!」なぜか笑顔で言った。
この藤田さんとは、もう8年ぐらい前からのお付き合いで、凡人の私達にはわからない事がわかる自称占い師さん。
藤田さんとの出会いは後に書くとして…
1年半ぐらい前に「パパの様子がちょっとおかしい。もともと怒りっぽい人やけど、異常なぐらいにいろんな事にイライラしている。相変わらず好きな事してストレス発散しているけど、節制もしないので体重も増えている感じで…体調面も気になる。でも言う事は聞かない」みたいな相談をした。
その時「言うこと聞くような人じゃないでしょ(笑)病気にならんとわからんよ。大病は1回する。でも、死にはせん!」と言われた事がある。
その時に長女も一緒にいて、もうちょっと詳しく聞いた結論「心臓かな?脳ではないな…」と言うと、藤田さんは「心臓やな」と言った。「じゃあ、心筋梗塞でもするんかな!?」と、2人で話しながら帰宅し、パパにも「パパ、大病するらしいで~!心筋梗塞やわい!でも死なんって!」なんて話した事がある。
その時の事が頭にあって、勝手に「心筋梗塞」と思い込んでいた。まだ、気持ちに少し余裕があった。
そこから緊急PCI(経皮的冠動脈形成術)のためアンギオ室の前で待つ。
パパの会社の携帯がジャンジャン鳴る。取るわけにもいかない。部下のK君に電話をして事情を伝える。
「近くにいるので今から取りに行きますよ」と言ってくれる。
16:05「着いた。いまから行くよ」Y子さんからLINEあり。
それからパパの友人で、私とも娘達とも仲が良いMちゃん、家族のような存在のUにも連絡する。この日は、Uと一緒に叔父さんのお通夜に行く予定であった。次女も学校が終わり次第一緒に行く予定。次女にも連絡しないと…
でも、パパが心筋梗塞かも!?とはLINEでは伝えられない。動揺して帰宅途中に何かあってもいけない。
とりあえず「帰ったらLINEして」とだけ伝えた。お通夜に行く予定であったので、特に不思議に思う事はない。
「今から帰る~!」とLINEがあったのを確認した後、Y子さんが自宅へ迎えに行ってくれた。次女は何も知らずに帰宅。連絡があり、状態を伝える。「えーーーー!大丈夫なん!?」半泣き。
私は、待っている間に次女のLINEに入院に必要な物品を打ち込んで、送信するだけにしていた。次女に話して送信する。次女は私の送った物品をY子さんと相談しながら一緒に準備。
心筋梗塞と思っていても、廊下で待っている間は心臓はバクバクしていた。
そして呼ばれた!
「心筋梗塞でしょ?もう、通った?」なんて気持ちで中に入る。
でも、循環器医師の表情は険しかった…
「心筋梗塞か狭心症の疑いで検査をしましたが、そのような所見はなく、おそらく心筋炎だと思います。それも、かなり重症の心筋炎だと思います。」
「心筋炎?!何なんそれ?!」心で聞いた。看護師と言っても何でも知っているわけではない。
最近では、コロナワクチンの副反応で心筋炎という単語を聞く機会があるが、当時は聞いたこともなかった。
医師は重い口調で「心筋炎は、何らかのウイルスが体内に入り、通常は心臓まで到達するまでに免疫がやっつけます。しかし、まれに心臓までウイルスが届き、心臓の機能を破壊して、最悪は心臓が止まります。何のウイルスか、細菌か。検査の時に4カ所細胞を摂取して検査に出しましたが、結果が出るまでには4,5日かかります。」
私 「原因菌がわかれば治療できるんですよね?」
医師 「治療は、原因がウイルスや細菌なので、特効薬はなく自分の免疫がウイルスの増殖を防ぎ、心臓の機能を取り戻すことができるか。と言うことです。」
「あ~。そうやった。ウイルスはそうよね…」私、何聞きよるんやろ…。そんな事を思うと同時に、医師はもっと衝撃的な話をした。
「心筋炎でも、劇症型心筋炎と言って、急激に悪化して心停止する場合もあります。劇症型心筋炎になった場合、致死率は50%です。なので、急激な悪化に備えて鼠径部から補助循環装置に繋げる為に、シースを入れています。」みたいな事を説明された。
心臓が止まって心臓マッサージをしながら鼠蹊部から補助循環装置に繋ぐのは、時間もかかるし、技術的にも難しいらしい。
「心筋炎から劇症型になるのはどのくらいの割合ですか?!」怖かったけど聞いてみる。
「今の見解は50%です」と…
頭の中が真っ白。助かる見込みが50%?!急変に備える?!家族の私にそう言うのであれば、医師の見解は、致死率60%以上で、ほぼ劇症型心筋炎になるであろう。という状態なんやろな。と思った。
アンギオ室で検査を終えたパパと一緒にCCUへ移動する時、パパが「先生心筋梗塞なん?何なん?!」って聞いた。
循環器医師は、「心筋梗塞ならまだ良かったんですけど…」と。
パパ 「なんで?」
医師 「通せば良いだけやから…」
私は、先生…それ以上言わんで!パパが不安になるけん。気持ちで負けるけん!って、咄嗟に思った。
医師はそれ以上言わないし、パパもそれ以上聞かなかった。いつもは何でも詳しく聞きたがるのに、その時はそれ以上何も聞かなかった。身体がしんどかったのか。それとも何か嫌な感じがしたのか。黙って旧館7階のCCUへ移動した。
CCUは一般病棟とは違い、家族が簡単には入れない。もちろん、その頃は新型コロナの面会制限も全くなかった。私は、病棟のエレベーター前の椅子に座って待っていた。
Mちゃん、Uが来院。次女、Y子さんが入院に必要な物品を持って来院。
私は、CCUのある病棟のエレベーター前のロビーで静かに話し始める。
「心筋梗塞じゃなかったんよ…」「何なん!?」「心筋炎…」「心筋炎って!?」Mちゃん一人が私に詰め寄る。
医師のICを伝えるが、私は医療従事者、Mちゃんは大工さん。「それはどういうこと?!それは何なん?!」
私は「今は、わかるように説明はできん。心筋炎と劇症型心筋炎でググって!」と言う。
勤務が一段落ついた長女が来る。長女にも心筋梗塞ではなく、心筋炎であったこと。劇症型になる可能性があり、劇症型になった場合は致死率50%であると言うことを伝える。長女は医療従事者なので簡単な説明でわかってくれる。
入院の手続きでいろんな書類にサインした。個室のことも聞かれたけど、この状況で個室のことなんて考えられない!
「今決めんといかん!?」思わず看護師にきつい口調で言う。
CCUの中に入れるようになり、順番に入る。
「まぁちゃん、わし、大丈夫なん?心筋炎って何なん?」ちょっと弱気で聞いてくる。
心臓にウイルスが入っている事だけの説明をする。
CCUのパパは、モニターがついて、点滴が入って、酸素がついて…呼吸苦がある事から、ベッドは少し挙上していた。
パンパンの顔(太っているせいやけど)をしかめて、超機嫌が悪そうやった。その時の私は、パパの前でおどおどしていたと思う。パパに現状を言えないのと、不安な気持ちに押しつぶされそうで、その場に立っているのが精一杯やった。
この現状から逃げ出したかった。
でも、モニターの波形はやっぱりおかしい。正常ではない。先にも書いたように、私は心電図が苦手でわからない。
でも、波形が正常でないのはわかった。
「パンシロンが飲みたい。水が飲みたい。」看護師に聞いてみる。水の許可はある。水を買いに一旦CCUを出る。
自販機で水を買う。長女が言う。「ねえ、お母さん、パパの波形おかしいよね!?」「うん。おかしい。」やっぱり長女も思っていた。波形のことを長女と話している会話にMちゃんが入ってくる。
「波形って何?!」「モニターに出とるやつ」「あれは心臓の何が出とるん!?」私は、それ以上答える気力もなかったし、Mちゃんに対してイライラしてしょうがなかった。それでもやめないMちゃん。
「おかしいって何なん!?どう、おかしいん!?」
長女が何となく説明していたが、私がまた、ぶち切れる!
「もう!ちょっと黙って!!さっきも言うたやろ!!心電図の説明を今、この状況でMちゃんに説明をする余裕もないし、できることじゃない!わからん事は、帰ってEちゃんにでも聞いて!!」
ぶち切れて言ってしまった。心配のあまり聞いてしまうんやろうけど、その時の私には、そんな事感じられる余裕は全くない。「もう!静かにしてっ!」としか思えなかった。
Eちゃんとは、Mちゃんの奥さんの事で、この人も看護師。
次女曰く、この時その場にいた残りの3人。次女、Y子さん、Uは黙って携帯で「劇症型心筋炎」をひたすらググっていたと。次女も「何なんやろ?って、わからんことばっかりで誰かに聞きたい気持ちはあったけど、今は聞ける雰囲気じゃない。」って思っていたらしい。
高校1年生の次女ですら空気を読んでいるのに、このMちゃんは空気が読めていなかった。
そのくらい心配して、動揺していたんだろう。と、いうことにしておこう。
順番で面会した次女が出てきて「パパが早よ、水持ってきて!って、言いよる!」と。
急いで水を持って入る。「早よ、かして!」苛立っている。不機嫌MAX。
吸い飲みに水を入れて渡すと、ゴクゴクゴク!一気に飲み込んだら、モニターが150まで上がり、ピピピピピ!!アラーム音が鳴り響く。私の心臓もバクバク。飲水だけでこんなに心臓に負担がかかっている。手が震える。
「一口ずつ飲まんといかんよ!」と言うが、「飲んだ気がせん!」と言うことを聞かない。
看護師から言われて、しぶしぶ一口ずつ飲水する。でも、飲水したらモニターは上がっている。怖い怖い怖い。
もう、時間も遅くなっていたし、叔父さんのお通夜にも行けてないので、翌日のお葬式、香典のこと。何より、親族が集まるのに、我が家から誰も行かないので何かしら説明がいる。この状態を誰に伝えるべきか!?そんな事も考えなければならないし。
考えたくはないけど、心のどこかで、帰宅後は急変に備えなければならない。と言う気持ちもあった。
「明日、また来るけん!」手を振ってCCUを出る。「うん」辛そうなしかめっ面で手を振っていた。
脳にダメージを受ける前のパパと話したのはこれが最後やった。
今、パパは生きているけど、話すこともできるけど…
「この時、もっと話しておけば良かった。もっと、頑張れって言えば良かった。もっと大丈夫って言えば良かった。まぁちゃんには、パパが必要って事を言えば良かった。」伝えていれば、何かが変わっていたかも知れない。そう思って悔いが残る。
この日の血液検査結果は、
<外来受診時の採血結果>
CRP11.06↑(正常値:0.18以下) 白血球112.7↑(正常値:30.4~96.4) トロポニンⅠ49.547↑(正常値:0.047以下)
CKーMB114↑(正常値:5~25) CK1078↑(正常値:62~287) BNP616.9(正常値:18.4以下) 肝機能、腎機能も高値
<緊急入院した夕方の採血結果>
CRP11.01↑(正常値:0.18以下) 白血球108.9↑(正常値:30.4~96.4) トロポニンⅠ57.913↑(正常値:0.047以下)
CKーMB134↑(正常値:5~25) CK1142↑(正常値:62~287) 肝機能、腎機能も高値
パパはその後、21:00頃にセレネースを施行されていた。呼吸苦があったと思われる。
帰宅後、とりあえず義姉に連絡し、お通夜の帰りに寄ってもらう。また、一から説明。この時は長女も一緒に説明してくれて助かった。私達も入浴して、洗濯干して…
「準備しとったら、案外大丈夫やったね!って事になるんよ!」と言いながら、急変に備えて、上着とバッグ、靴下を玄関の近くのソファの上に準備してそれぞれのベッドに入った。
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