ICU②の印象深い事
師長に充てて書いた手紙は、渡すべきかどうか数日間悩んだ。
渡すかどうかは悩んだが、書く事に関しての迷いはなかった。
書くことによって、冷静に言葉を選び感情をコントロールできる。
何度も書き直して、感情を抑えて、抑えて…
師長に渡した後、その日に師長から返事があった。
かなりの長文になるので、実際の手紙の敬語を直して書きたいと思います。
私が書いた内容は…
まずは、お世話になっている事への御礼と、家族が看護師だからこそ気づく事もある。
また、家族が看護師だからICUの看護師もやりにくい事もある。
そこは十分認識した上での伝えたいことであると思ってほしい旨から始める。
転棟してから少し気になることがあって、その場の看護師に伝えようか…と思っていたが、「まあ、師長がそのうち来た時に伝えよう。」と思っていた。
関わる看護師は若い看護師が多く、直接伝えると困ると思った。
私も現場で経験浅い若い看護師が患者家族に言われた事に、自分で判断して答える事は難しいと思っているので、この病棟の責任者である師長に伝えるのが良いと思っていた。
しかし、そろそろ一般病棟に転棟するかも…という時期になっても、師長の顔もわからない。というこの現状はいかがなものか?
私の勤務している病院では、入院日のうちに師長が必ず挨拶に伺う。師長が休みの時には、次の勤務日に必ず挨拶に行く。
長女の勤務している病院では、1日1回師長が挨拶に伺う。
師長は、主人には毎日挨拶しているのかもしれないが、毎日2:00から7:00まで面会しているのに一度も訪室してきたことない。廊下で挨拶することもない。なので、顔もわからない。
それぞれの病院で師長という役割が多少違うとは思うが、責任者ということはどこも変わりはないと思っている。今回このような手紙という手段を選んだのは、そのような経緯で選択した事と理解してほしい。
→面会しているのは知っていたが、夫婦の時間を大切にしたくて訪室を遠慮した。と。
•プライマリーナースが1年目の看護師でも問題はないが、プリセプターはついているのか?
1年目が終わろうとしている時期だが、指導や相談する看護師も一緒にケアを考えているのか?
その日の担当以外で一緒にケアをする人によって気使いやケアの丁寧さが違う。
全体的にケアに対しての考え方をもっと重じてほしい。
医師ではなく、看護師だから気づくこと、看護師だからわかる事を責任と自覚を持って行ってほしい。
シーツが排泄物で汚れているのに交換しない。汚れていないシーツで過ごした時間の方が少ない。
定期交換日より1日早く交換してくれた看護師もいたが、それまでに5日間汚染したままで過ごした。
交換後2〜3日でまた汚染し、その後もそのまま。感染対策の視点からもどうなのか?
体位変換の為の横シーツが汗でびっしょり濡れているのに交換しない。
こちらからお願いして3回変えてもらったが、そのうち2回は、尿崩症で脱水になっていた時期で、正確な捕液量と尿量を観察、アセスメントしていた時期。
実際、医師が捕液量の調節も行っていた。本人もかなりの汗をかいて、「暑い」と訴えていた。
その時には、排泄物で汚染するから、肌とガウンの間に一番大きな処置シーツを敷いていた。
腋窩まで上に上げて背部から腹部を覆うように巻いていた。
胸部に小さな膿疹が数個できており、悪化してはいけないと思って、皮膚の状態を伝えて、汚染防止のシーツをもっと下に下げて使用するようにお願いした。が、翌日も腋窩まで上げており同じように「暑い」と汗をかいていた。
なので、ちょうど良い大きさの処置シーツを購入して持参し、「これを使って欲しい。」とお願いした。
その頃には、何日も同じシートを巻いたままだったんでしょうね。もともと敷いてあった大きな処置シートは破れていた。
ということは、何日も汚染はなかった。必要はなかったってこと。
ケアは二の次という感覚のICU、救急部かもしれないが、ケアを通して、尿崩症やMRIの所見等からも考えられることをアセスメントする必要はあると思う。
→プリセプター制度ではないが、チームで相談できるようにしている。処置シートの件や、汚染のシーツの件は、師長の把握していない事であった。
•毎日行っている清潔ケアの内容は?清拭は毎日。とは聞いているが、腋窩がタダレた時、私の方から申し出た。
申し出る前日から気付いていたが翌日に酷くなっていたので看護師に声をかけたところ
「いつからですか?反対もですか?本人言ってますか?」と。
午前中に清拭しているのでは?皮膚の観察してますよね?また、本人が痒いと言える状態か?
その日は、ナースコールをベッドの上に置いていた。ミトンしていて、ナースコールが押せるのか?
排便があっても洗浄していないので、1日1回は陰部洗浄しているものと考えていた。
膀胱留置カテーテルを留置中で、感染源になる。
鼠蹊部の皮膚トラブルも発生して、医師の指示で毎日洗浄軟膏処置になっているが、数日前には固定テープもしてなくて、尿道口からの出血も少量あった。
家族が看護師だから、ケアに参加させて頂いていることはあり、そこは感謝している。
しかし、主人は娘達にとっては父親。自分と同じ若い年代の人に排泄物のケアをしてもらっているだけでも抵抗がある。
そのような状態で、娘に断りもなく排泄物の処理を行い始め、羞恥心に配慮することもないのはやめていただきたい。
「背中とか傷がないか見て良いですか?」から始まり、「良いですよ」と私達が、身体を一緒に支えている状態で「お通じが出てるので、一緒に変えちゃって良いですか?」と言われ、陰部を隠す配慮もせずに、病室のドアは開けており、カーテンの隙間から廊下も見えていた。
その時、廊下で2名の看護師がこちらを見ており2人で何か話していた。
長女と目があったが、病室内に入って、手伝う訳でもなく身体を支えている私達に「変わります」と言う訳でもなく、そのまま立ち去った。
一言「このままで、娘さん大丈夫ですか?」という一言は必要かと思う。
何より、主人が嫌でしょう。看護の基礎であり、当然の配慮かと思うが。
看護の基礎である事と言えば、言葉使い。自分の子供ぐらいの看護師がタメ口で主人に話すのはどうか。
何年も入院していて、患者とも家族とも信頼関係ができている関係なら、つい出てしまうこともある。
そのような状態で言葉使いについて言うつもりはない。しかし、主人に対してタメ口で声をかけているのを聞くと、主人の意識がはっきりしていないからそのような話し方になるのか。と思ってしまう。
これは、妻の私より娘達がとても不快に思っている。
主人が元気なころのように、自分の意思でコミュニケーションが取れるのなら主人が良いならそれで良いが、今はそのような状態ではない。
→看護師が家族さんに甘えていた所がある。申し訳ない。言葉使いに対しても、羞恥心の配慮に対しても基本の事。できていない現状も事実。と、謝罪ある。
ICUという場所が、一般病棟と違うのはわかってる。
先日、急患があった時に、その患者、家族に対しての配慮からだとは思うが、長女が仕事で先に帰る時、ステーションの前を通りがかったら「どなたの家族ですか?ここ通りますか?」など聞かれて、肩に手を置かれて、身体を覆うように入り口まで抱えられて連れて行かれた。
そのような決まりなのか?立ち止まって見たりしない。
そして、その看護師が処置に関わっている看護師であったならば、その手は汚くないのか?
皆さんは常に手袋をしている。しかし、その手袋は汚染されているか、そうでないか。それは私たちにはわからない。
看護師だからそのような事も思うのかもしれないが、私達は、上着は控え室に置き、最小限の荷物も外から持ってきたバッグとは別の袋に入れ、外からしてきたマスクは捨て、手を洗ってマスクをつけインターホンを押し、アルコール消毒をしてICUの中に入っている。
特別な場所と認識して行動している。しかし、回診時にはマスクをしていない医学生がいたり、看護師もマスクをしていない人もいる。新型コロナが話題になっており、愛媛で発生した場合には、貴院でも受けいれになっていますよね?マスク不足もあるとは思うが、ICUだから、そこは徹底しても良いかと思う。
→開放創で酷い状態であったので、そのような感じになってしまった。その看護師は処置には関わっておらず、手は汚染されていない状態であった。
ICU2は少し陰圧になっており、体調の悪くないスタッフはマスクなしで勤務している。
大学病院しかできない治療で、主人は命を救われた。
何とか順調に回復してくれる事を毎日願っている。ここからまだまだ心配な事もたくさんある。
その中の一つで血栓。足のポンプが不調な事が多く、つけていない時間もかなり長いが、医師の指示ではないのか?
私達がいる間もつけていない時間が多いので、家族のいない時間はどうなんだろう。と不安に思っている。
「後でつけます」と言われたけど、そのまま勤務交代し、次の勤務者にこちらからお願いしたり、着けても電源が入っていない事も数回あった。2月23日に面会に行った時には、足に巻いているカフを替えて頂いて不調はなくなっていた。
私的には、その交換する。という判断をしてくださった方に、もう少し早く関わって欲しかった。
→医師の指示で行っている。必要だから指示が出ている。
私の出来ることは面会時間に何でもする。許可してもらったら、面会時間以外でも一緒にする。
遠慮なく言って頂けたらありがたいぐらい。
なので、私のいない時間は不安のないようにしてほしいだけ。
面会に行って、口腔ケアしたの?と思うような事や、足趾がポンプの機械にくいこんでいたり、ナースコールが置かれて、ベッドアップした枕から頭部が落ちてベッド柵にあたりそうになっていたり、小さいガウンで上腕にAラインがくいこんだうえに突っ張っていたり、尖足や外旋、足背浮腫には全く関心がない体位変換であったり、ベッド柵に腕があたるのに柵をしたまま体位変換をしたり…
忙しいのも、急患があるのもわかる。私も同業者なので、優先順位があるのもわかる。
しかし、それをふまえた2:1看護では?その診療報酬では?
→おっしゃるとおりです。それを踏まえた2:1であり、診療報酬です。と。
最後に、この手紙の内容を師長に伝えるべきかどうか。ずいぶん悩んだが、伝えない=私の看護観や私の行ってきた看護がこのような事に何も感じないんだ。と思われるのも嫌だな。と考えたし、日頃、職場で介護職員や新人に注意している自分も思い出した。患者家族の立場だが、同じ看護師として次の世代がより良い看護が行えるように成長してほしい。とも思った。
「その時に、その場の看護師に言ってもらえたらよかったのに」と言われるかも知れないが、先にも申したように、師長と早くに会っていれば、そんな相談もできたであろうが、大学病院のICU2という場所では私の感じることは間違っている。と返されるかもしれない。という思いと、何より主人が居ますから…なかなか言えることではない。
ICU1での看護師のプロとしての配慮やケアは、同じ看護師としても家族としても頭の下がる素晴らしいものだった。
ICU2でも、その日の担当ではなかったが、忙しい中、体位変換時にちゃんとシーツのシワを伸ばし、皮膚の状態の観察を行って、きっちりしている看護師も存在する事も知っている。リハビリのない休日にも体格の良い主人を端座位にしてくれ、ミトンをつける前に腕をまわして運動を促してくれたり、今後の事や家族の心配の声かけを下さる方もいた。
面会時間以外の様子も知らせてくれ、普通の日常会話で気分を和らげてもらった事もある。
今回の手紙は、知らせした内容の該当看護師を責めるものではないし、個人から謝罪の言葉を頂きたい訳でもない。
離職率も高く、良い人材を育成していくのが困難な医療の現場で、しょうがない。ではなく、もう一度師長の立場として考えて頂けるきっかけにしてくれれば幸い。
長期の関わりが少ないICUだが、家族の気持ちとして納めてほしい。
なので、苦情という形でご意見箱に書くのではなく師長宛てのお願いにした。
もうあと少しで、一般病棟に転棟になると思うが、ここまで回復できたことに感謝している。ありがとうございました。
皆様の、ますますのご発展をお祈り申し上げます。
と、言う内容の手紙にした。
師長は一つ一つの内容を確認して、ちゃんと答えてくれた。そして、師長も患者家族の立場になった経験もあり、家族が入院している間は、なかなか言い出せないことも理解できると。
私がなぜ、師長に伝えるか。の本当の理由も口頭で伝えた。
私が一番気になったのは、家族が毎日長時間面会している。ましてや、その家族は医療従事者となると、面会時間の直前に訪室して患者の状態を確認したりしないのか?!
こちらが伝えた事に対しての反応が「まずいな」という感じでもなく、悪気もなければ、悪い事とも思っていない事が問題。
それは、やらなければいけない事を「自分達がする事」と認識していない事だと思った。
少なくとも、私が気になった事は、ビジネスとして、看護する側が行う事だと思っている。
当時、友人達(看護師)に相談した時には、みんな口を揃えて「言えば良いよ!何で言わんの!?患者層が違っても、それはやらないかん事やで!」と、言っていたし、「まずいな。と思わんのは、そう教育されてないんやろね」と、話していた。
ICU2最後の日になったが、師長と話ができて良かった。
全ての事に対して、「伝えてくれてありがとうございます。こうして、知らせてくれないと師長という立場ではわかりかねる事が多いのが現状です。内容に関しては、お恥ずかしい限りです」と。
その後、どのように指導してくれたのか?今は改善されたのか?それは私は知らない。
あれから、もうすぐ3年になる。当時の新卒の看護師も今は指導している立場になっていると思う。
気持ちのこもった、より良い看護ができる、素敵な看護師になってくれてると信じています。
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