噛まれた手首より心が痛い 転院③ 劇症型心筋炎発症から61日目~血管外科①~
帰宅後入浴して、一息ついていると電話が鳴る…
不思議と不安はなかった。
なんとなく、かかってくる気がしていた。
電話は病棟看護師からで、今日切開した鼠蹊部のガーゼを剥がす行為があり、つなぎ服を着用したが、脱衣しようと暴れる。できたら付き添って欲しい。
という内容であった。
私は急いでドライヤーをかけて準備をした。
長女は準夜で、次女と二人であったため、次女に家のことをお願いして病院へ急いだ。
次女には「何か、うれしそうやね」と言われた。
確かに、付き添える事が嬉しかった。
大学病院では、付き添えない事にイライラしていた事も事実で、「私が付き添えたら、こうするのに!こんな事やらないのに!」と思う事も多くあった。
なので、付き添える。と言うことは希望の第一歩であった。
22:00頃到着。パパは入眠中。電話で確認、許可していたので個室に転室。
つなぎ服の必要性を説明され、検討を聞かれる。パパに説明して「どうする?」と聞くと
「着よか…」と。通常の脳なら、つなぎ服を着る事なんて受容するはずはない。
私のアセスメントは、つなぎ服を着用させたことで興奮が酷くなったのではないか!?と感じていた。
でも、本人が承諾するなら仕方ない。
消灯後、横に付き添って休むが、興奮し始めるとしばらく続く。何度もつなぎ服を引っ張り脱げない事に興奮が増す。
どこかに行きたくて、「靴取って!」を繰り返し、さらに興奮が増す。
興奮しすぎて「靴取ってや!」が「かつくってやー!」と。(笑)
これには、ちょっと笑ってしまう。
しかし、そんな面白い時間も一瞬で、私に掴みかかり、手を痛いくらいに握り手首を噛まれる。
噛まれるというより、食いちぎられるという方があてはまる。
元気になったら見せてやる!と、泣きながら写メに撮る。
この涙の意味は…
「痛い!痛い!パパ、やめて!!」と、噛まれている最中に痛みで涙は出ていたけど、噛まれた手首の痛みより、心が痛かった。
病気になる前のパパは、わがままで俺様やったけど、私には優しかった。
考え方はちょっと変わっているが…
私に辛い事があったら、辛い思いをさせた相手に「わしが、生卵投げつけに行っちゃろか!?」と、笑いながら言ったり、時には真面目な顔して「世界中の人が、まぁちゃんの敵になっても、わしは、まぁちゃんの味方。それが間違っていたとしても、一緒に正解!と、思ってやる!二人が良ければそれでえーやん!ほやけん、大丈夫!」と言っていた。
何の解決にもならないが、何か元気がでた。
そんな事から、脳にダメージが残っても、私にだけは暴力はない。私の言う事はわかってくれる!と思っていた。
付き添い初日でその自信は打ち砕かれた。
元気だった頃のパパがいなくなってしまったようで、心が痛くて、涙が止まらなかった。
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