始まり～劇症型心筋炎との闘い～

始まりは2020年1月。パパが1月4日に49歳になってすぐだった。

この頃の我が家は、建材屋の支店長のパパ。慢性期病院の病棟勤務の私。急性期病院2年目勤務の長女。私立高校看護科1年生の次女。18歳の猫♀と2歳の犬♀。で、楽しいことが大好きで親戚より親密な仲間がいてワイワイ面白おかしく過ごしていた。とにかく、お出かけ好きで、その仲間達とは、「旅のしおり」を作成して旅行に出かけたり、甲子園に行ったり、釣りに行ったり…大人も、子供も参加して、BBQや海水浴、リレーマラソン。もちろん、イベントの後は打ち上げもするし、毎年新年会もする。娘たちが小さい頃から夜勤をしていたこともあり、娘二人だけどパパとは凄く仲が良かった。

この頃の私の勤務は、1ヶ月に7回から10回の夜勤をしていた。勤務表上では看護師の人数は規定通りの人数だが、新しい人であったり、非常勤であったり、一人としてカウントするには無理があった。夜勤でも、日勤でもやって帰る事が多く、いつも残業続きだった。でも、日勤より夜勤が好きであったし、性格上「やってやる！」と言う使命感で、特に不満はなかった。

今日と同じ明日が来るとは限らない。と、わかってはいるけど、出来事は突然やってくる。

人がその時一番に求めるものは情報である。私もそうだった。

残念ながら劇症型心筋炎の致死率は50%。悲しい情報がほとんどだった。

パパが劇症型心筋炎から奇跡の生還を果たしたことを同じ境遇の人にぜひ伝えたい。

回復までの日々をつづります。

1月18日（土）　発症前①

この日は夜勤でいつもどおりに電話して、寝る前には「おやすみ」のLINEもあった。

でも、この夜からすでに始まっていた。

37.4度の発熱。

1月19日（日）　発症前②

夜勤明けで帰宅すると元気がない。お腹が空いて機嫌が悪いのか？パパは、若い頃から、私が夜勤明けの日が休日の時には、何かを作って食べる。と言うことはあまりない人。

「帰りに何か買うてきて～」と言うタイプ。この日も帰宅が遅い事でお腹が空いていると思っていた。

「ラーメンでも食べに行く？」誘ってみるが

「そんな気分じゃない。昨日から具合が悪い。熱は37.4度ぐらい。」

なんか嫌な予感がした。

今の家に引っ越した時にパパが決めたルールがある。それは「夜勤明けは布団で寝る事」ソファや和室で寝ずに、ちゃんとそれぞれベッドで寝る事！ずっと守ってきたけど…

「今日は、ここで寝るけん。何かあったら起こしよ」私は、和室で横になる。

「なんで？」パパは聞いてきた。

「何か心配やけん…」何がそんなに心配やったか？！食欲がない事が一番心配やったのかもしれない。

パパはグルメで美味しいものが大好き。「安かろう不味かろう」は許せない人で、「美味しいものは高くても食べる」という人。夏バテで食欲がないということも一度もない。体調が悪くて食べられない。という事もない人。

そんな人が「食べたくない」と言うことが、ただ事ではないような気がした。何かわからんけど、凄い心配やった。

私が和室でウトウトし始めた頃、ポンポン！ポンポン！音が聞こえる。ポップコーンを作って食べていた！

我が家はオール電化でIH。ポップコーンを作るには、災害用で置いてあるカセットコンロを玄関収納から取ってきて作らなければならない。わざわざ取ってきて作って食べているのであれば大丈夫かな。ちょっと安心した。

その日の夜は、おじやを作って「美味しい」って食べた。夜38.0度台まで上昇し、解熱剤で下がる。

「インフルなんやない？明日、病院行きよ！」「どこに？」

私は、かかりつけ医に行くように勧めるが、「あんなとこ行かんよ！そうとう混むのに。何時間かかるかわからん！嫌じゃ！」と。「ほんなら、どこでも好きな病院に行きやー」そう話して就寝する。

1月20日（月）発症前③

とりあえず、朝出勤した後、耳鼻科受診。インフル（-）咽頭部「ちょっと赤い？」程度の所見。

抗生剤と風邪症状に対しての内服薬処方される。

電話で「インフルじゃなかった。」報告がある。

私は「インフルの方が良かった。インフルじゃないなら、39.0度も何で出るん？」そう言う。

「わからん」と、パパ。早めに終業し、帰宅する。

晩御飯は煮込みうどん。1人前摂取できる。夜も39.0度発熱あり。ロキソプロフェン服薬し、解熱するが、数時間後にはまた高熱になる。

夜中も発汗多量。呻吟「んー。んー」と。